海外FXに興味はあるものの、法律や損失リスクの観点から実際に利用するか迷っている方も多いのではないでしょうか?
今回は海外FXの違法性やリスク、安全に取引を行う上での観点について解説します。国内FXと海外FXのどちらを利用するべきか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
海外FXに対する金融庁の見解は?
注意すべきポイントとして
金融庁HPでは、「外国為替証拠金取引について」に対する見解を下記のように示しています。
- 外国為替証拠金取引は、金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ行うことができません。無登録業者からの勧誘にご注意ください。
- 登録を受けた業者と取引を行う場合でも、その業者の信用力を慎重に判断し、信用できる業者と取引を行ってください。
- 外国為替証拠金取引は、比較的少額で取引できる反面、差し入れた証拠金以上の多額の損失が生じるおそれのある非常にリスクの高い商品です。取引の仕組みと取引に伴うリスクを十分に理解したうえで、自らの責任で適切な投資判断を行ってください。
詳細は後述しますが、全体的に「禁止」ではなく「注意」という内容で呼びかけられているのが分かります。
つまり、海外FX業者については、「違法性はないものの注意しましょう」と述べるのみですので、海外FX会社を利用すること自体は法律的になんも問題はありません。
金融商品取引業では
では、前項1点目の「外国為替証拠金取引は、金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ行うことができません」とはどういうことでしょうか?
金融商品取引法は、「金融商品取引業者の登録をしないと営業してはいけない」ことであり、「無登録業者でFXトレードをしてはいけない」ということではありません。つまり、金融商品取引法はFX業者向けの法律なのです。
そのため、投資家がその会社を使って取引をすること自体問題がないということになります。
海外FX会社が日本の金融商品取引法の登録を行いたくない理由
通常、日本で金融商品取引業者に登録すると、金融庁が定める規制に従う必要があります。
特に「レバレッジ規制」は25倍までという制限がありますが、ここを無視して自由に設定できるため、海外FX会社としては登録をしないほうが望ましいのです。
海外企業の選択が「禁止」ではなく「注意」にとどまる理由
では、金融庁は登録のない海外FX会社との取引を「禁止」ではなく「注意」に留めているのでしょうか?
それは、日本国内のFX会社からの圧力が背景にあると言われています。
国内FX会社の立場と思惑
前述したように、日本国内のFX会社は緊張が定める厳しい規制の範囲内で取引をしています。一方で、海外FX会社は日本の規制に縛られず自由にハイレバレッジトレードができるため、大事な顧客がそちらに流れてしますことを懸念しているのです。
とはいえ、あくまでも海外FX会社は海外の会社なので、日本の法律で管理すること自体が不可能なのです。そこで金融庁としては、国内FX会社に対しては「対策を打っている」姿勢は示さないといけないのです。
金融庁の対策
では、具体的に金融庁はどのような対策を進めているのでしょうか?ポイントは大きくは以下の二つです。
- 投資家に対する注意喚起
- 海外FX業者への行政処分
1.投資家に対する注意喚起
金融庁は、HPやリーフレットなどで投資家向けに注意喚起を多数発信しています。
当然禁止はできないため、あくまでも「注意」という内容ですが、特に「違法な勧誘」や「出金トラブル」「損失」などをキーワードに、具体例なども挙げながら注意喚起を行っています。
2.海外FX業者への行政処分
金融庁から海外FX会社に対して「行政処分」を行います。
行政処分なので「営業停止処分」などが課されることになるのですが、とはいえ海外の会社なので法的な効力もなく、具体的にはその会社が拠点を置く国の金融監督庁に対して「〇〇という会社を日本で営業させないようにしてほしい」と圧力(お願い)をかけることになります。
そのお願いを聞き入れた海外の金融監督庁が、その国で定める営業停止処分を下すことになります。
海外FX会社の比較検討のポイント
では、十分にリスクを踏まえたうえで、それでも海外FXを使いたい場合、どういった点に注意すればよいでしょうか?
それは「その国の金融監督庁」の営業許可があるか、すなわち「監査をクリアしているか」を見ることが有効と考えられます。
日本の金融庁当局の監査ポイント
- 経営管理態勢
- 法令等遵守態勢
- 内部管理態勢
- 監査態勢
- 危機管理態勢
- 内部管理態勢
- リスク管理態勢
- 自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 事務リスク管理態勢
- システムリスク管理態勢
- その他リスク管理態勢
- 監査等態勢
- 大規模かつ複雑な業務をグループ一体として行う証券会社グループのリスク
- 管理態勢等
- 特別金融商品取引業者の連結自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 最終指定親会社の連結自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 最終指定親会社の流動性規制関連リスクの管理態勢
- 営業姿勢等
- 株式営業
- 債券営業
- 投信営業
- デリバティブ営業等
- 引受等営業
- PTS業務
- 電子金融商品取引業務
- 分別管理業務
- 内部管理
- 財産・経理
- 自己資本規制比率
- 特別金融商品取引業者の連結自己資本規制比率
- 最終指定親会社の連結自己資本規制比率
- 最終指定親会社の連結流動性カバレッジ比率
- 内部管理態勢
- リスク管理態勢
- 事務リスク管理態勢
- システムリスク管理態勢
- 監査等態勢
- 個人業者
など、つまり
- 自己資本比率の安定性
- 信託保全
- レバレッジ規制
- 顧客情報の管理が正しくなされているか?
などの点が、ポイントであるといえます。
世界の金融監督庁の監査ポイント
一方、海外では金融商品取引業者に対してどういったポイントで見ているかというと、
- 十分な自己資本があるかどうか?
- 顧客資金の管理体制があるかどうか?
- コンプライアンスやリスク管理の体制があるかどうか?
- システムが問題なく稼働できる体制があるかどうか?
- 顧客へリスク情報の提供や注意喚起は行っているかどうか?
など、日本の金融庁が見ているポイントと、おおむね大差はないとも言えます。
つまり、「海外のFX業者は無登録だから危険」ではなく、「いずれかの国の金融ライセンスを持っていない海外FX業者は危険」が正しい認識です。
まとめ
冒頭でも述べたように、海外FXでのトレード自体は違法ではありません。
金融庁のHPでは、
- 外国為替証拠金取引について
- 海外に所在する無登録業者とのFX取引等にご注意ください!
- バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!
- 海外業者とのバイナリーオプション取引にご注意ください!-無登録業者との契約は行わないで!!-(国民生活センターウェブサイト)
- 儲かっているのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意-自動売買ソフト等を購入させ、海外FX取引に誘う手口-(国民生活センターウェブサイト)
など、国内のトレーダー向けの注意喚起が行われています。
また、注意喚起だけではなく、
- 登録を受けている金融商品取引業者一覧
- 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
と、登録のある業者の一覧と、警告書を出した業者の一覧を随時更新の上で配信しているようです。
とはいえ、日本の「金融商品取引業者」の登録をしていない海外FX業者であっても、他の国の金融ライセンスは保有している業者もあり、一概に「海外FXは危険」とはなりません。
安全な海外FX業者を選ぶポイントとしては、
- 自国または他国の金融ライセンスを有していること※親会社、グループ会社、関連会社含む
- 規模の大きい(自己資本比率が安定している)企業であること
- 日本でのサービス期間が長いこと
などをポイントに、自己責任の上で少しでも安全な海外FX業者で比較検討することをおすすめします。